言わずと知れたシマノのトップグレードのデュラエースとセカンドグレードのアルテグラ。
価格は20万を超えるデュラと10万弱のアルテと倍以上の開きがある。
巷では「デュラは別格」なんて囁かれるが実際はどうなのだろう。
10速ホイールしか手持ちが無い小生が、わざわざ11速コンポを導入した理由は、7900系コンポは3速ダウンが出来ない為である。
ノーマルクランクを使う小生にとってフロントの掛け替えは避けられないのだが、16Tを持つスプロケットを使用する場合、アウターに上げる際には必ず3速ダウンが必要になる。
本当は6700系のパーツを幾つか購入していたのだが、このことに気付き6800系を無理矢理導入することになったのだ。
これによってお気に入りだった7900のスプロケットも無駄になってしまったが、それでも3段落とせない事が受け入れられなかったのだ。
そんな小生からすると7900系と9000系の違いに余り3段変速出来ることが語られないのが不思議でならない。
その他、あまり公にされていない変更点としてトリム操作の復活がある。
7900系のトリム操作廃止はかなり嬉しいファクターだったが、11速化によってこの機構を受け継ぐのが難しくなったようだ。
もう一つはガイドプーリーのセンタロン機構の廃止。7900系まではガイドプーリーにガタがあり、多少のズレを許容してくれたのだが、9000系は固有のギアで音が出たりする。
久しぶりに5700系コンポを組んだクロスバイクに乗るとリアディレイラーが静かで驚くが、これがセンタロン機構の恩恵だったのだろうか。
全くデュラエースと言うブランドに憧れを持たない小生だが、好奇心で一つづつパーツを試すうちに結局クランク以外のコンポがデュラエースになってしまった。
スプロケットそれでは本題のデュラとアルテの違いだが、その違いを最も象徴しているパーツがスプロケットだろう。
11-25T同士て比べると、228gのアルテに対し、デュラは173gと圧倒的な軽さを誇る。
これは大きなギアがスチールからチタンに置き換えられているからなのだが、スチールギアも軽量化のために溝が掘られるなど、小さいギアでも1~2gの涙ぐましい努力の跡が見える。
しかし変速性能自体に大きな違いは見られず、価格は3倍もの開きがあるが、それによる恩恵は55gの軽量化が主である。
デュラとアルテは別物…なんて言われるが、デュラはアルテの贅沢ヴァージョンと考えていいだろう。
しかし、実際使ってみるとデュラの変速フィールはアルテグラと結構異なる。変速ショックが若干デュラの方が硬質なのだ。これはチタンのギアやカーボンのスパイダーアームによるものと考えられるが、アルテの方が脚に優しい感じはある。
カンッカンッっと決まるデュラの変速が心地よいのも事実だが、素材としては断衝性に優れるスチールギアが優れているとも感じる。
そういう意味ではSRAM REDのようなスチール削り出しがスプロケットの最終形態と言える知れない。
因みにアルテとの重量差55gというのはコンポ単体としては最も大きい(クランクは含まず)。
しかし、同じ金額を払うならステージに合わせて3種類のアルテスプロケットを揃える方が利口かも知れない。
ディレイラー次にディレイラー。チタンのボルトやカーボンプレートが奢られている割に前後合わせて約50g減と、軽量化の度合は小さい。
ただ、アルテのガイドプーリーにはベアリングが入っていない事に加え、なぜかラバーシールドで異物の侵入をガードしている。
このシールドのせいでプーリーの動きはSORA以下である。
ブッシュにシールドとか嫌がらせかと思うが、ガイドプーリーだけは社外品に交換することは進めない。
センタロン機構がない9000系でも歯の形状、厚みなどの影響なのか、変速性能はアフターメーカーのものを頭一つ凌駕している。
デュラプーリーは3000円ほどで購入出来るのでアルテユーザーにはお勧めのお手軽チューンなのだが、そもそも1000円値段を上げてでも最初からベアリングを入れて欲しかったと思うのは小生だけだろうか…。
変速性能はチェーンとスプロケット、チェーンリングによって決まると思っていた小生だが、ディレイラーだけ替えても変速性能は良くなり、操作が軽くなった。
変速性能が上がる道理は良く分からないが、レバー操作が軽くなるのはディレイラー側のスプリングが弱いからだろう。
反発力が衰えにくい上質なスプリングを使っているからギリギリまで弱いスプリングで済むのかも知れないし、ただ単に差異を付けるためにアルテに少し強いスプリングを使っているのかも知れない。
とりあえずデュラは僅かにレバー操作が軽いが、そのおかげでストロークも若干短く感じる。
また、デュラは動きがスムーズな為か、STIがアルテのままでもややクリック感が強くなった。リアディレイラーを換装してもう3週間になるが、今だ変速の瞬間に小さな感動を与えてくれる。
STIレバーST-9000はST-6800より大きかったようだが、ST-9001へのマイナーチェンジでアルテと同等サイズに改められた。
測定してみると、ST-9001の方が幅が全体的に0.5mm前後スリムなようだ。
ラバーも硬質だが、最初から手に自然に馴染み、握るとアルテより一回り小さく感じる。
これに慣れるとアルテが大振りに感じてしまいそうである。
ブレーキのバネはほんの僅かデュラの方が弱く、デュラのレバーとアルテのレバーを押し付けるとデュラが先に倒れていくものの、体感としてはほとんど変わらない。
一方シフトは更にスムーズになるかと思いきや、レバーの重さの変化は僅かだがクリック感が増した。
デュラの硬質で小気味良い感触に比べると、アルテグラのただ軽いだけの操作感は物足りないと感じてしまう。
重量は419gから367gと、片側26gづつの軽量化。
ブレーキまだ普及が進まないダイレクトマウントだが、こちらが本命。フォークさえあればすぐに交換したい。
剛性、効き、空気抵抗、見た目のスマートさと、あらゆる観点から見ても既存のブレーキを凌ぐ。
センター穴バージョンのモデルは、センターホールに取り付ける為に、“へ”の字の台座を追加して、ダイレクトマウントと同じピボット位置を取っている。
しかし、タイヤの上一箇所でブレーキを支える旧規格と、制動面のすぐ近くに二点の支点を持つダイレクトマウントでは、どちらが強度的に有利かは明白だろう。
本題のアルテとデュラの差だが、ブレーキに関しては最初からデュラを選択したため比較は出来ないのだが、他のパーツから推測しても、アルテグラでも不満を感じる事はまず無かっただろう。
≪追記…BR6800を試したが、アルテグラである事を忘れる位ちゃんと効く。パーツを眺めるとコストダウンされたパーツがややチープさを感じさせるが、グレードが下だから効かないなんてことは無い。スプロケと同じく値段の違いは重量がメインと考えて良いだろう≫
BR-9000を使って一つ気になった事は、制動力の立ち上がりがロック寸前に鈍くなる点。
要するにロックしにくいように設計されているのだが、旧型のブレーキのバイクに乗り変えた時に、飛び出しなどの急制動で、BR-9000と同じ感覚でブレーキを掛けてしまうと盛大にケツが浮き上がる。
2台以上乗り分けている人は注意した方が良いだろう。
まとめアルテグラはサンデーレースを戦うのに必要十分なコンポであり、普段ほかのコンポを使っている人がデュラとアルテで組まれた2台の試乗車を乗り比べても差異を感じないかも知れない。デュラを知らなければアルテグラに不満を感じる事はまずないだろう。
その名の通り究極(アルティメイト)の完成形(インテグレイテッド)である。
しかし、アルテを1年近く使って来た小生にはその差はやはり明確に感じられた。デュラの操作感は1ランク上である事は間違いなく、一度その感触を知ってしまうと戻る事は容易ではない。
速く走りたいならばアルテグラで必要十分だが、デュラエースの硬質で小気味良い操作フィールには確かに投資に見合う価値がある。
操作感に関しては、確かに「デュラは別格」と言える。
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